2021.4.23
レヴァちゃんとスリーさんがインドに帰る日が近づいてきていると分かっていながら、無事に卒園式を終えるまで自分の心が落ち着かない日々を送ってしまい、そのこともずっと憂鬱な種だった。
私は自分で思っている以上に不器用で非効率で同時進行で物事を進めることができないし、そういう状態で強引に物事を進めても感情がまったく伴わない。
レヴァちゃんたちに会いたい、でも今は他のことが頭にあって行動に移せない。畑に行きたい、でも隙間時間にサッと身体を動かせるほどの体力も気力もない。
一日一日を必死に乗り切って、最小限の身の回りの人間関係だけでも大きな世界でヘトヘトに疲れていた。
卒園式まではそんな日々だった。
ようやく迎えた卒園式の後、久しぶりに夫のパフォーマンスがあったので家族で晴れ着のまま会場へ向かった。
会場は豊田市の街中にある芝生の空き地で、夫はそこに半径2メートルほどの自分の領域を石とロープで作り、どっしりとあぐらをかいて座ると一人芝居を始めた。
子どもたちとうどんを食べながら、ワークショップをしながら、夫の方を見れば彼はいつだって自分の世界に没入し汗を流しながらパフォーマンスを続けている。
知らない子どもが近づいたり離れたりしながらキャッキャと見たり、通りすがりの方々が携帯のカメラを向けても彼はずっと何かをブツブツ言いながら物語の世界を生きている。
途中で汗まみれになったTシャツも脱ぎ、隣のブースで似顔絵を描いていた美大生ユニットの子達が笑いながらタオルを渡している。
平和な時間だった。
大げさだけど、心が解けていくようだと思った。
私の居場所はどこなのか、まだはっきりは分からないけれど、少なくとも私の居場所は午前中までいたあの場所ではなかったなと思った。
5年間、よく頑張った。
ほんとによくやった。
人知れず、豊田の空き地で自分を褒める。
そして「夢だったのかな?」ともうすでに苦しかったことも大変だったこともファンタジーに脳内変換できている私の頭の能天気さよ。
たしかに自分には不相応な場所にいたので大変なことは多かったけど、言葉や感情は次々と溢れていた。
今までの日常を夢にした瞬間、平和は訪れたけどあの湧き出る言葉や感情の門は閉じた気もした。
歌を歌うこともなくなった。
私はアーティストでもなんでもなかった。継続する熱量は平均値。
心地よい場所をまた探す。