2020.9.17

バイト先で注文を取るハンディが新しいものに替わった。

ハンバーグチェーン店のランチタイムのメニューは種類豊富で、セット内容のご飯の量やソースの種類、ドリンクバーの利用なども聞かなくてはならず、少し複雑。

やっと前のハンディに慣れてきた頃なのに(1年以上経ってやっと)、新ハンディはiphoneのアプリで画面も小さいし、メニューの階層も難しくて不安。

 

朝の掃除後、10分ほどで説明を受けるが私以外は一度触ったことがあるらしく「うんうん」頷いて聞いている中、初めて触れて聞く私は軽くパニック。

 

「え、ちょっと分からないです。最初の方ちょっと教えてくださいって!」

 

必死に食い下がって分からないことをアピールしたら、

 

「あー。触ってみてください。見たまんまなんで」

と店長に超絶軽くあしらわれてしまった。

 

夏休みや休校中など、休みを取ってばかりだから私のことが気に入らないのか?

仕事を覚えることも遅くて戦力外通告

 

勝手に卑屈に捉えて軽く落ち込む。

 

新ハンディを片手に不安いっぱいな勤務を終えた。

ハンディと一緒に変わった新しいレジは怖すぎて最後の最後に一度だけ付き添い付きで触るのみだった。

2回席番号を間違えた。

間違えたのに変更操作が分からず、手書きと叫びのアナログ方法で訂正した。

店長の言ったように、見たまんま、触って手で覚える感覚的な新ハンディ。

器械には強い方だと思っていたけれど、5時間の勤務じゃまるで足りなかった。

 

私の勤務と交代で高校生のアルバイトの子が入ってきた。

以前、私に「EXILEって分かります?」と恐る恐る聞いて私との会話を広げようとしてくれた金髪メッシュの可愛い子。

店長が優しく手取り足取り教えている。

飲み込みもとても早く、私が恐怖のあまり避けていたレジも難なくこなしている。

 

その時、私は気づいてしまった。

 

私は歳を取ったのだ。

店長は私を嫌ったりしているわけではない。

私がもうおばさんだから、自分でどうにかできる歳だから、だから手取り足取り丁寧に教える必要はないと思ったのだ。当然のことだ。

高校生の子よりも、私は店長との歳の差の方がはるかに近い。

小太りおじさんの容姿のせいか、ずいぶん歳上のように接していたが私と10歳も離れていない。

同年代とも言えるのかもしれない。おそろしい!!

 

「ちやほやしてくれるのは若いうちだけよ~」

学生時代のアルバイト先のパート主婦、チエミさんの声が聞こえる気がする。

その頃の私は、自分が「ちやほや」されているという実感なんてなかった。

「ちやほや」とは、特別に可愛い子たちが対象にされるものだと思っていた。

 

けれど、それは違った。

若い、というだけで自分では自覚していないうちにずいぶんとその恩恵を受けていたのだ。

賄いのおかずに単価の高いササミのチーズ揚げを食べても誰も文句は言わなかった。

いいちこの蕎麦湯割りばかり頼む常連さんを鬱陶しい、クソじじいと心の中で思いながら無の境地の仏頂面で接客していた時も、「こけしちゃん~」と笑顔で呼んで優しくしてくれた。

 

当たり前に受けていたあの時の好意は、若い私に向けての「ちやほや」に過ぎなかったのだ。

なんともったいない!!!

もっとその「ちやほや」に甘んじてその甘い蜜を全身で浴びればよかった!

 

私はもう、「ちやほや」はされない歳になってしまったのだから。

 

ま、その事実に気づいただけでいっか。

気づかなかったら痛かったな。

 

自分的には大発見並みの気づきではあったが、今日は静かにその事実を受け止める。

もう大人だから。